【経審の勘どころ】
〜〜〜(その14)工事進行基準の利用〜〜〜

建設業簿記の勉強をしたことがある方は、完成工事高の計上方法に「工事完成基準」の他に「工事進行基準」というものがあることをご存じだと思います。
この工事進行基準とは、長期の請負工事について、工事完成時に一括して完成工事高を計上するのではなく、工事の進捗状況に応じた割合で各決算期に完成工事高を割り振るというもので、収益の経常が平準化され、各期の損益がよりハッキリわかるメリットがあります。
 
実務では、工事完成基準がほとんどであり、工事進行基準を採用するのは極例外的なケースに限られていましたが、最近、次のように大手のゼネコンで工事進行基準を適用する動きが出てきました。
  ・鹿島 :請負金額1億円以上、工期1年以上の新規受注工事に適用
  ・長谷工 :請負金額5億円以上、工期1年以上の新規受注工事に適用
  ・佐藤工業 :請負金額30億円以上の新規工事および既存工事(工期残が1年超)
 
今回は、この工事進行基準について考えてみます。
 
<経審への影響>
  工事進行基準を採用すると経審に対しては次のような影響が生じます。
  ・X1: 完成工事高の増加(プラス)
  ・X2: 完成工事高の増加(マイナス)
    自己資本の増加(プラス)
  ・Y : 完成工事高の増加(概ねプラス:第18号の「完成工事高とY評点」参照)
    自己資本の増加(プラス)
    当期利益の増加(利益率が高ければプラス、低ければマイナス)
  ・Z : 影響なし
  ・W : 工事の安全成績のテーブルの完工高の変化(プラス)
  ・Z : 建設業経理事務士等数のテーブルの完工高の変化(マイナス)
 
このようにプラスの影響とマイナスの影響が混在していますが、総合的にはプラスの影響が強いと考えられます。
(ただし、赤字工事の場合は上述の影響はすべて正反対になります。)
 
<税法上の取扱>
  税法上は、工事進行基準には次のような留意点があります。
  (1) 黒字工事にしか適用は認められません。
  (2) 利益が前倒しになった分、法人税等の支払いも前倒しになります。
    消費税については完成・引渡時の納付でも構いません。
  (3) 工期2年以上、請負金額50億円以上の長期大規模工事については、一定の要件の下、工事進行基準が強制適用されます。(経過措置あり)
 
<国際会計基準との関係>
  国際会計基準では、この工事進行基準に一本化されており、工事完成基準は認められていません。
  国際会計基準のこの部分が日本に導入される時期は未定ですが、工事進行基準の自主的な利用は、単に経審対策というだけでなく、会計の国際化という側面も有しているといえます。
 
e工事ネットの「経審フォーラム」会議室では、経審全般に関するご質問を受け付けています。
<発行>
 あさかわシステムズ株式会社
http://www.a-sk.co.jp/
 
<編著>
 荒牧裕一(経営コンサルタント)
http://www.aramaki.com/


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