経審の勘どころ

〜〜〜(その5)増資のポイント(2)〜〜〜

 前号に引き続き、増資について様々な面から検討してみます。
 (なお、前号の内容はこちらでご覧いただけます。)

(4)間接的な効果
   増資をした場合、自己資本が増える効果の他に、資本として振り込まれた資金の
  使い道が重要となります。これが間接的な効果です。
   前号で用いたモデル企業に2億円の有利子負債があったとします。
完成工事高10億円 経常利益 1,500万円
総資本   5億円 自己資本  1億円
固定資産  1.5億円 固定負債  1億円
有利子負債 2億円 支払利息  600万円

   この企業で仮に5,000万円の増資をし、その全額をこれら有利子負債の返済に充
  てたとしたらどうなるでしょうか。(支払利息も同じ割合で減少すると仮定)
   ・Yの「有利子負債月商倍率」は、2.4月から1.8月へアップ
      「純支払利息比率」  は、0.6%から0.45%へアップ

   また、利益の増加や、総資本増加の抑制によって、次の効果もあります。
   ・Yの「キャッシュ・フロー対売上高比率」は、0.9%から0.99%へアップ
    (経常利益の60%がキャッシュ・フローと仮定)
   ・(2)で3%から約2.7%にダウンした「総資本経常利益率」が3.3%にアップ
   ・Yの「自己資本比率」は、(1)の約27.3%から30%へアップ

  これらの効果を、P評点に換算すると約6.29点となります。前号で計算した直接的
 な効果の約11点のうちの7点以上はX2の評点アップによるものであることを考える
 と、Yに関しては間接的な効果の方が大きいことが判ります。

(5)増資は万能ではない
   以上より、増資の直接的な効果としては、他の項目(ZやW)に比べて決して有
  利とはいえず、その資金を有利子負債の返済に充てた場合の間接的な効果を加味し
  て考える必要があるといえます。
   したがって、増資の資金を現預金としてそのまま保有していたり、一部企業で見
  られるように仮払金を使った増資処理をした場合の効果はそれほどでもなく、かつ
  て「経審の特効薬」的な扱いを受けていた増資も、実はそれほど万能ではないこと
  が判ります。


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<編著>
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