建設mailマガジン "Ask-Letter"
  <2005年02月22日号(第118号)>


【建設業経理事務士】
  〜〜〜 本試験の重点勉強分野(その2) 〜〜〜
 前号(2級、1級財務諸表)に引き続き、今回は「その2」として、1級財務分析および原価計算の重点勉強分野を紹介します。
 
【1級財務分析】

財務分析はここ2年の合格率が高くなっています。(昨年31.5%、一昨年41.2%。)
その反動で今年は難易度があがるかも知れませんので、気を引き締めて勉強をしましょう。
 
[第1問]
1. 財務分析と同様に、キャッシュ・フロー計算書の問題が出る可能性があります。
次の様な問題への対策は立てておきましょう。

  • キャッシュ・フロー計算書とは?
  • キャッシュ・フロー計算書における資金(現金および現金同等物)の概念
  • 営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュ・フローのそれぞれの意味と対象となる取引の主な例
2. 他の分野としては、次のようなヤマがあります。

  • 財務分析の限界
  • 財務分析の手法(静態・動態、自己単一・企業間比較、実数・比率 等)
  • 収益性分析
  • 活動性分析
 
[第2問]

例年穴埋問題です。財務分析の穴埋め問題は、日本語の表現が微妙で迷うものもありますが、配点は大きくありませんので、悩みすぎて時間をロスしないようにしましょう。
 
[第3問]・[第5問]

第3問と第5問は、比率分析を中心とした問題です。各種財務比率を確実に覚えましょう。特に注釈部分は重要です。
「営業キャッシュ・フロー対流動負債比率」がそろそろ出るかも・・・。
 
[第4問]

財務分析最大の難関の第4問ですが、近年は出題傾向が安定しておらず、的が絞りにくくなっています。とりあえず、次の3分野は必ず勉強しておきましょう。

  1. 指数法による総合評価法
  2. 百分率キャッシュ・フロー計算書
  3. 損益分岐点分析(昨年出るかな・・・と思ったのですが。)
 
【1級原価計算】

1級原価計算は、一番勉強しやすい科目です。というのも、計算問題のウェイトが高いため、理論問題を捨てて、ひたすら計算問題の練習をすれば7割以上得点できるためです。合格率も安定しています。
 
[第1問]

論点が多いので予想が難しいです。
一応、次の8つのテーマを挙げておきます。

  1. 原価計算制度と特殊原価調査の違い
  2. 原価計算基準における非原価項目
  3. プロダクトコストとピリオドコストの違い
  4. 材料副費(外部副費と内部副費)
  5. 建設業における原価計算の目的
  6. 工種別原価計算、形態別原価計算、それぞれの意義
  7. 現場経費、現場共通費、共通仮設費の違い
  8. 営業費の区分(注文獲得費等)と管理方法
 
[第2問]

大抵の年は穴埋め問題です。特にヤマはありません。
 
[第3問][第5問]

基本的には、過去問題をしっかり勉強してくださればOKです。
 
[第4問]

昨年、新傾向問題として材料元帳の問題が出ました。これは2級レベルの問題なので、その場で対応できた受験生も多かったと思いますが、今後も2級の範囲から出題される可能性もあるため、時間に余裕のある方は、2級の復習をしておくのも良いかもしれません。
例えば、労務費について支払日と原価計算期間のズレを調整する問題や、材料費の期首・当期仕入・期末の残高から当期の原価算入額を計算する問題などは、結構ややこしいので、要注意です。
 
 e工事ネットの「建設業経理フォーラム」会議室では、建設業経理事務士に関するご質問を受け付けています。


【緊急特集】
  〜〜〜 建設業経理事務士の経審加点の廃止について 〜〜〜
 2月15日付けの日刊建設工業新聞の1面にて、「建設業経理事務士の経審加点 06年度廃止にくすぶる不満」と題した記事が掲載され、有資格者や受験生等に大きな波紋を呼んでいます。
 この記事によると、公益法人改革に伴って、建設業経理事務士の経審への加点が18年度以降廃止されることが既に閣議決定されているとのことですが、そのような話は「寝耳に水」だった方も多いかと思います。
 そこで、この問題が今後どうなるのか、私(荒牧)の意見をまとめてみました。
 
<加点廃止もすでに「決定事項」>
   問題の閣議決定は「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」というもので、平成14年3月29日に行われました。
 これによると、「公益法人が独自に行う技能審査等の事務・事業に対する大臣認定その他の推薦等については、当該事務・事業が法律で定められた国の事務・事業ではないこと、民間において実施されている各種技能審査等の間における差別化を必要以上に助長するおそれがあること等の観点から、一律に廃止する。また、今後同様の推薦等はこれを行わないこととする。」とされています。
 この文章だけ読めば、この閣議決定は、民間資格に対する大臣認定制度を廃止することを意味していると考えられます。事実、建設業経理事務士の国土交通大臣認定については数年前に廃止されており、それでこの閣議決定への対応は終了したと考えていた人も多かったと思われます。(私自身もそう思っていました。)

 ところが、今になって、経審での加点廃止までが問題になっているのは、どういうことでしょうか。実は、閣議決定の本文ではなく「別表4」に記載があったのです。
 別表4では、具体的措置の一覧が挙げられていますが、そこに
   ○事務・事業:建設業の経理知識審査等事業
   ○根拠法令・条項:建設業法施行規則第19条
   ○関係公益法人の名称:(財)建設業振興基金
   ○廃止時期:平成17年度
 とリストアップされています。
 上記の「建設業法施行規則第19条」というのは、経審の加点対象の根拠となる条項です。したがって、この時点で、経審の加点の制度が平成17年度に廃止されることが決定していたようです。
 
<廃止に伴う問題点>
  しかし、この加点廃止に関しては、次のような問題点があります。
 
(1) 周知不足
   何といっても関係者の不満が大きいのは、この周知不足でしょう。平成14年3月に廃止の方向性が決まっていながら、国土交通省も建設業振興基金も何らこのことを周知していません。それどころか、今年度の受験案内には「2級以上の建設業経理事務士は、公共工事の入札に係る経営事項審査の評価対象となっています。」と太字で書かれています。
 今回、たまたま業界紙に記事が出たために、この問題が明らかになりましたが、もしこの記事がなければ、廃止直前まで何もアナウンスをしないつもりだったのでしょうか。3級の加点の廃止が何年も前からアナウンスされていたことと比較しても、関係機関の対応には疑問が残ります。
 
(2) 税理士等との関係
   経審では、建設業経理事務士だけでなく、公認会計士や税理士も加点対象となっています。これらの資格は国家資格なので、公益法人改革を理由に廃止することは出来ないはずですが、建設業者の評価項目に公認会計士と税理士だけが残るのでは違和感があります。
 
(3) 申請時期、決算時期による不公平
   建設業経理事務士等数は、W評点で約67点(P評点換算で約10点)のウェイトがあります。したがって、具体的な廃止時期がいつになるのか判りませんが、その廃止の前に申請した企業と廃止後に申請した企業では、上記の分だけ差が付いてくることになります。
 P評点での10点というのは、かなりの差であり、その不公平をなくすための何らかの経過措置が望まれます。
 
(4) Wの存在意義
   もし、建設業経理事務士の加点が廃止されると、経審のW(その他)の評価項目は、労働福祉の状況(7項目)、安全成績、営業年数だけになります。
 この内、営業年数は自助努力で上げることはできず、労働福祉の状況の内の3項目と安全成績は減点項目です。さらに、労働福祉の状況の内の企業年金制度は、厚生年金基金の解散が相次いで、加点されない企業が増えています。
 したがって、W項目については、企業の努力が反映される項目はごくわずかになってしまいます。この様な状況では、Wの項目の存在意義がなくなってしまうのではないでしょうか。
 
<今後の見通し>
  以上の様な問題を考えると、閣議決定があっても、単純に加点制度を廃止することは難しいのではないでしょうか。今後、この問題がどのように展開していくか予想することは難しいですが、次のような可能性があります。
 
(1) 激変緩和措置がとられる
   上記のとおり、単純な廃止では、申請時期や決算時期による不公平が大きいため、2〜3年かけて徐々に配点ウェイトを下げた上で廃止するという激変緩和措置が取られるかも知れません。
 また、平成17年3月試験までの合格者までに限って加点対象にするといった制限を付けて対応するということもあり得ます。
 
(2) W分野の全面的な見直しがなされる
   これを機会に、W評点の評価対象や加点ルールについて全面的な見直しを行い、その中で建設業経理事務士の加点を廃止するということも考えられます。
 ただし、この場合は、その内容の検討に時間がかかるため、(1)の激変緩和措置と併用するなどの措置が必要でしょう。
 
(3) 「技能士」制度への組み込みを図る
   今回の見直しの対象はあくまでも民間資格が対象であるので、建設業経理事務士が国家資格になればすべては解決します。しかし、国家資格を新たに創設するには法律の根拠が必要であるため、一般的には実現は難しいでしょう。
 唯一可能性があるのは、技能士の一分野として建設業簿記を加えることでしょう。技能士とは「職業能力開発促進法」に基づく国家試験で、その対象分野の追加は厚生労働省令で行うことが出来ますので、新たに法律を制定する必要はなく、比較的柔軟な対応が可能だと思われます。
 この制度を利用して民間資格から国家資格に「昇格」した前例としては、ファイナンシャル・プランナー(平成14年4月より)が有名です。
 
(4) 地方自治体の主観点に加点
   もし、経審のP評点への加点が完全に廃止されたとしても、都道府県等の地方自治体におけるランク分けの際の主観点の1項目として加点してもらうことは可能です。
 実は、建設業経理事務士が経審に加点される以前、徳島県では独自に主観点の評価項目にしていたという事実もあります。
 これについては、業界団体等の努力によっては、実現の可能性が大いにあるのではないでしょうか。
 
 以上の見通しについては、あくまで私見ですので、今後どうなるかは判りません。しかし、18年度以降も何らかの形で建設業経理事務士が評価される可能性は残っていますので、3月の本試験を受験される予定の皆様は合格を目指して頑張って下さい。


<発行>
 あさかわシステムズ株式会社
http://www.a-sk.co.jp/
 
<編著>
 荒牧裕一(経営コンサルタント)
http://www.aramaki.com/


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