税効果会計



 税効果会計とは、会計上の収益・費用と税務上の益金・損金との食い違いを解決するために考えられた制度であり、次のような特徴があります。
1.
法人税等を発生主義で認識する。
2.
会計上の損益認識時点と、課税計算上の損益認識時点との間に相違がある場合に、そのズレを調整する。
3.
繰延税金資産、繰延税金負債の認識を行う。


 会計上収益・費用として認識されるが、税務上益金・損金として認識されないものとしては、例えば不良債権に対する貸倒引当金の積み立てが挙げられます。
 会計上は、貸倒の危険性がある限り貸倒引当金繰入額は繰入時点で全額費用として認識されます。しかし税務上は、損金算入限度額というものがあり、それを超えて計上された貸倒引当金繰入額は、その年度の損金としては認識されません。したがって、その年度は会計上の利益から計算した額よりも多い法人税を支払わなければなりません。
 しかし、翌年度以降に貸倒が現実に生じた場合は、その回収不能額が損金として認められますから、その年度の法人税は少なくなります。言い換えれば、貸倒引当金を設定した年度に払いすぎた税金が、貸倒が実際に生じた年度に戻ってくるというイメージです。


 従来の会計制度では、このように将来戻ってくる税金については何の処理もされていませんでしたが、税効果会計が導入されると、これらが「繰延税金資産」という一種の資産項目として処理されることになります。


 税効果会計は、2000年3月期決算から、大会社(証券取引法が適用される会社)に対して適用が義務づけられます。


<対象となる税金>
 税効果会計の対象となる税金は、次のとおりです。
1.
法人税
2.
住民税の所得割額
3.
事業税(利益を課税標準とするもの)
 また、会計上収益・費用として認識されるが、税務上益金・損金として認識されないものでも、交際費に係る法人税のように翌年以降に税金が戻ってくる可能性のないものは、税効果会計の対象外になります。
 このように将来の税金に影響を与えないものは永久差異、将来の税金に影響を与えるものは一時差異と呼ばれています。


<特有の勘定科目>
 税効果会計特有の勘定科目は、次のとおりです。
1.
繰延税金資産、長期繰延税金資産
将来減算される税金の額を試算として計上したもの。
2.
繰延税金負債、長期繰延税金負債
将来加算される税金の額を負債として計上したもの。
3.
法人税等調整額、過年度法人税等調整額
税効果会計の適用によって生じる税金の調整額。


<必要な仕訳>
 税効果会計では、次のような仕訳が必要となります。
1.
将来の税金が減算されるとき

 (借)繰延税金資産  ×××  /(貸)法人税等調整額  ×××

貸借対照表に、将来の税金減算予定額を繰延税金資産(又は長期繰延税金資産)として計上するとともに、損益計算書の法人税等調整額で、当期の税金額を減少させる調整を行う。

2.
将来の税金が加算されるとき

 (借)法人税等調整額 ×××  /(貸)繰延税金負債   ×××

貸借対照表に、将来の税金加算予定額を繰延税金負債(又は長期繰延税金負債)として計上するとともに、損益計算書の法人税等調整額で、当期の税金額を増加させる調整を行う。


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